相続で必要な除籍謄本とは、
除籍謄本が1通という意味ではなく、
亡くなった人の出生から死亡までの連続した除籍謄本等が必要という意味です。

除籍謄本1通を取れば、
「人が生まれた時から亡くなるまでのすべてが載っている」、
とよく勘違いする人もいます。

しかし、実際には、人の一生の戸籍というのは、
除籍謄本1通ではなく、いくつかの除籍謄本と、
いくつかの原戸籍があるのです。

具体的には、大正生まれや昭和生れの人なら、
まず、生まれた頃の除籍謄本と、
昭和の原戸籍があります。

そして、婚姻していれば、婚姻後にできた除籍謄本、
婚姻していなくても、平成の原戸籍、
亡くなった時の除籍謄本(又は戸籍謄本)があります。

もし、離婚または転籍をしていれば、
さらにそれぞれの数の除籍謄本といった感じです。

つまり、相続に必要な除籍謄本とは、
亡くなった人の戸籍だけを考えても1つや2つではなく、
少なくとも5種類程度は必要となり、
亡くなった人の婚姻や離婚、転籍の状況によってはさらに多くなります。

また、几帳面な方だった場合、
住所を移転するたびに、戸籍も移していることが多く、
過去の移り住んだ住所の数だけ除籍謄本が存在する方もいます。

なぜなら、住所地に戸籍を移していれば、
戸籍が必要となった時に、
近くの役所ですぐに取れるから便利と思うからです。

しかし、いざ本人が亡くなり、相続人が相続手続きを進める時には、
戸籍を移した数だけ、過去の本籍地の役所から、
亡くなった人の除籍謄本を1つ1つ取り寄せなくてはなりません。

除籍謄本も原戸籍も戸籍謄本も、
それぞれの戸籍の本籍地の役所でしか、
取得することができない書面だからです。

通常、亡くなった人の銀行預金や生命保険、
株や不動産の相続手続きでは、
亡くなった人の出生から死亡までの連続した除籍謄本等が必要です。

それぞれの手続き先では、
相続手続きのご案内という書面(冊子)を用意しており、
相続手続きに必要な書類として必ず記載されています。

ただ、相続に必要な除籍謄本についての書き方が、
それぞれの手続き先によって以下のように違っているのが現状です。

・ 亡くなった人の出生から死亡までの連続した除籍謄本

・ 被相続人の生まれてから亡くなるまでのつながった戸籍謄本

・ 亡くなられた方の出生時から死亡時までの除籍謄本

いずれの場合であっても、
相続手続きには、亡くなった人の出生からの除籍謄本、
原戸籍、戸籍謄本のすべてが抜かりなく必要ですよという意味です。

表現の仕方が、
手続き先によって違っているだけなのです。

また、本来生きていれば相続人になれた人についても、
その人の出生から亡くなるまでの除籍謄本等が、
相続手続きでは必要になることに注意しなければなりません。

たとえば、亡くなった人に長男がいたけど、
長男の方が数年または数十年前に、
先に亡くなっている場合です。

本来、亡くなった人の長男は、
生きていれば相続人になれた人ですが、
先に亡くなっているため相続人にはなれません。

しかし、長男に子孫がいれば、
長男の代わりに相続人となれます。

そのため、先に亡くなった長男に子孫がいるのかどうかの確認のため、
先に亡くなった長男の出生から亡くなるまでの除籍謄本等も、
相続手続き先から提出を求められるというわけです。

ちなみに、相続に必要な除籍謄本等については、
亡くなった人の銀行預金や生命保険、
株や不動産の相続手続きだけに必要というわけではありません。

もし、亡くなった人が自筆で書いた遺言書を残していれば、
相続手続きよりも先に、
家庭裁判所で遺言書の検認の手続きが必要となります。

そして、その遺言書の検認の手続きでも、
相続手続きと同じ種類と範囲の除籍謄本等を、
家庭裁判所に提出することになっているのです。

つまり、相続に必要な除籍謄本等がすべてそろっていれば、
それらの除籍謄本等を使用して、
遺言書の検認手続きも行うことができるということです。

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