除籍謄本(じょせきとうほん)と原戸籍(はらこせき)の違いは、
戸籍の中に誰もいなくなったため閉鎖された戸籍なのか、
法改正によって閉鎖された戸籍なのかの違いです。
除籍謄本と原戸籍のそれぞれの作られ方や、
区別の仕方を理解することで、
除籍謄本と原戸籍の違いがはっきりと理解できるようになります。
まず、除籍謄本の作られ方と、
除籍謄本かどうかの区別の仕方からご説明致します。
時の流れと共に、戸籍の中の人が亡くなったり、
本籍移動のため戸籍の中から人が出ることによって、
いずれは戸籍の中に誰もいなくなる時が来ます。
そして、戸籍の中に誰もいなくなった戸籍は、
戸籍の冒頭部分に大きな文字で【除籍】と記載され、
戸籍自体も「除籍」という名称に変わります。
その後、「除籍」は役所内で閉鎖されるのですが、
「除籍」の写しを取得できる人から請求されれば、
役所はその写しを除籍謄本として発行することも可能です。
ちなみに、謄本というのは、
原本の全部の写し(コピー)という意味があります。
以上が、戸籍が「除籍」という名称に変わり、
除籍謄本として発行されるまでの流れです。
また、除籍謄本かどうかを区別するには、
発行された謄本の冒頭部分に、
大きな文字で【除籍】と記載されているかどうかです。
または、発行された謄本の末尾の部分に、
「この謄本は、除籍の原本と相違ないことを認証する」
という記載があるかどうかです。
平成6年頃以前の様式(縦書き)の除籍謄本であれば、
上記の2つのどちらかで区別することができます。
しかし、平成6年頃から現在の様式(横書き)の戸籍については、
謄本の冒頭部分に【除籍】という大きな文字はありません。
そのため、平成6年頃から現在の様式(横書き)の戸籍については、
謄本の末尾の「この謄本は、除籍の原本と相違ないことを証明する」
という記載の有無で、除籍謄本なのかどうかを判断することになります。
次に、原戸籍(正式名称は改製原戸籍)についてですが、
その作られ方が「除籍」とはまったく異なります。
具体的には、明治時代、大正時代、昭和時代、
平成時代にかけて、何度か法の改正があり、
その法改正によって戸籍の様式も何度か変わってきました。
実際には、過去の法改正によって、
次のような様式の戸籍が作られています。
明治19年10月16日から、
明治31年7月15日まで作られた戸籍で明治19年式という戸籍。
明治31年7月16日から、
大正3年12月31日まで作られた戸籍で明治31年式という戸籍。
大正4年4月1日から、
昭和22年12月31日まで作られた戸籍で大正4年式という戸籍。
昭和23年1月1日から、
現在までの戸籍は、昭和23年式という戸籍です。
ただ、平成6年の法改正によって、
戸籍が電子化されて横書きとなっていますので、
横書きの戸籍のことを平成6年式と呼んで区別することもあります。
そして、法改正による戸籍の様式の変更があれば、
たとえ戸籍の中に何人か人が残っていたとしても、
新しい様式の戸籍に作り替えられたのです。
そして、古い様式の戸籍については、
その戸籍の冒頭部分に大きな文字で【改製原戸籍】と記載され、
戸籍自体も「原戸籍」という名称に変わります。
その後、「原戸籍」は役所内で閉鎖されるのですが、
「原戸籍」の写しを取得できる人から請求されれば、
その写しを原戸籍謄本として発行することも可能です。
ちなみに、原戸籍の読み方は、
「はらこせき」や「げんこせき」と読みますが、
現在の戸籍(現在戸籍又は現戸籍)と区別するために、
「はらこせき」と呼ばれることが多いです。
以上が、戸籍が「原戸籍」という名称に変わり、
原戸籍謄本として発行されるまでの流れです。
また、原戸籍かどうかを区別するには、
発行された謄本の冒頭部分に、
大きな文字で【改製原戸籍】と記載されているかどうかです。
または、発行された謄本の末尾の部分に、
「この謄本は、原戸籍の原本と相違ないことを認証する」や、
「この謄本は、改製原戸籍の原本と相違ないことを認証する」
という記載があるかどうかです。
電子化される前の様式(縦書き)の原戸籍謄本であれば、
上記の2つのどちらかで区別することができます。
しかし、電子化されている現在の様式(横書き)の戸籍については、
謄本の冒頭部分に【原戸籍】という大きな文字はありません。
そのため、謄本の末尾の「この謄本は、原戸籍の原本と相違ないことを証明する」や、
「この謄本は、改製原戸籍の原本と相違ないことを認証する」
という記載の有無で、原戸籍なのかどうかを判断することになります。
つまり、除籍謄本と原戸籍はどちらも古い戸籍で、
役所内で閉鎖されている戸籍という点では同じですが、
その作られ方やその名称、謄本発行時の冒頭部分や末尾に違いがあるということです。
また、亡くなった人の相続では、
相続手続き先に対して、相続人全員を戸籍上で証明するために、
亡くなった人の過去のすべての除籍謄本と原戸籍が必ず必要になります。
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